2008年6月9日月曜日

Shisen

四川料理は、中華料理のなかでも、中国4大料理のひとつとして重要な位置にあります。四川料理の特徴は、様々な食材と調味料を使用して、一つの料理には一つの味を出すという伝統があることです。本場の四川料理は味付けが濃いようですが、代表的なメニューとしては、麻婆豆腐やエビチリソースやバンバンジー、などで中華料理としては最も親しまれています。また、四川料理は、日本料理ではまず使用しない調味料、香辛料をたくさん使います。唐辛子、山椒、はおなじみですが、八角や、花椒は聞き慣れないひとも多いのではないでしょうか。八角は香りが非常に強いので、普通は1、2片を入れるものです。この八角というものはとても硬く、普通は香りを出すだけで食べません。花椒は、四川料理に限らず、中華料理全般に欠かせない香辛料の一つです。中国ではとてもポピュラーな香辛料で、四川以外での地方では花椒粉を使います。分かりやすく言うと、よく麻婆豆腐にかかっている灰色の粉です。四川料理の料理人といえば日本では陳健一さんが有名で、都内に四川飯店というお店を構えています。お店の場所は赤坂で、コースは、三種別盛り冷菜、エビのピリ辛マヨネーズ炒め、フカヒレとやわらか牛肉の煮込み、太刀魚のサクサク揚げスパイシーソース、カリフラワーの蟹肉あんかけ、陳麻婆豆腐とご飯、季節のフルーツ入り杏仁豆腐からなる「6300円コース」と、四種別盛り辛味冷菜、牛肉とアスパラのあっさり炒め、大エビのピリ辛マヨネーズ炒め、土鍋入りフカヒレの醤油煮込み、鴨のクレープ包み焼き、ホタテとカリフラワーのクリーム仕立て、ご飯物、デザート二種からなる「1050円コース」と、季節のおすすめオードブル、和牛の辛子炒め、ホタテのバジルペースト炒め、土鍋入りフカヒレのピリ辛煮込み、鴨のクレープ包み焼き、伊勢エビのチリソース、ご飯物、デザートプレートからなる「13650円コース」があります。ここに来れば四川の何たるかを肌と舌で感じることができるでしょう。ランチタイムには、サービスランチや、ランチコースもありとてもリーズナブルなのでこちらを利用するのもいいかもしれません。

2008年6月8日日曜日

Taishou-ken

有名なラーメン屋さんの「大勝軒」というお店があります。この「大勝軒」という名前のお店はのれんわけも含めて沢山ありますが、大別すると3つの系列があります。そのうちの1つは永福町の「大勝軒」、もう一つは東池袋の「大勝軒」、そして丸長系の「大勝軒」です。特に有名なのがつけ麺として有名な「もりそば」を考案した山岸一雄さんが1961年に独立して、東池袋にお店を開いた「大勝軒」です。このお店で修行した弟子達が独立したお店は数多くあり、「大勝軒 ○○店」という名前のお店から、「麺屋 ごとう」や「七福神」などが有名で、必ずメニューに「もりそば」があるのが特徴です。山岸さんは、中学校を卒業してすぐに上京し、都内で旋盤工として働いていましたが、現在の中野大勝軒の坂口さんに誘われ、阿佐ヶ谷の栄楽で修行を始めました。そこで基礎を学び東池袋に開店するに至りました。2007年には池袋再開発のために、惜しまれながらも閉店しましたが、2008年の1月にはお店の場所を変えて再開し、2代目の飯野さんが店主を受け継いでいます。このお店の代名詞ともなっている「特製もりそば」はもともとお店で食べていたまかないで、茹で上がった麺をザルから丼に移すときに、ザルに残った麺を集めて器にとっておき、それをスープ、唐辛子、ネギなどを入れた湯のみに入れてざるそばのようにして食べていたものでした。それは子供の頃からそばに親しんでいた、信州出身の山岸さんならではのひらめきで、食べ物を粗末にしてはいけないという思いから生まれたものでした。それを常連客が見て、食べたところ大好評で、それがメニューに加えるきっかけだったそうです。魚と動物系の味が混在したスープはやや甘めで、くどく感じる人もいるかもしれませんが、もちもちした麺をからめると不思議とすっきりとした味になるからおどろきです。具はチャーシュー、メンマ、海苔、といたってシンプルです。店舗によっては、玉子が入っていたり、スープの味、麺の質は違いますが、おいしいものをたくさん食べることができるというコンセプトは同じです。そして「もりそば」の最も大きな特徴は一度食べるとクセになるという所でしょう。

2008年6月7日土曜日

Forza!!_Napoli

先日、「真のナポリピッツァ協会」のお話をしたので、今日は日本にある「真のナポリピッツァ協会」の認定店を紹介します。東京都世田谷区にある「フォルツァ!!ナポリ」というお店は質、サービス共にとても私好みのお店です。ここは大型のスクリーンでイタリアのプロサッカー、「セリエA」などの試合も放映するというとことんナポリなピッツェリアで、ワールドカップの時はスポーツバーさながらの盛り上がりも見せます。間もなく北京五輪が開催されるので、そのときも盛り上がることは間違いないでしょう。だだ、盛り上がるだけではないのがこのお店のサービスが優れているといえるところで、客席はフロアごとに雰囲気が変わります。メインダイニングの2階席は、カジュアル&シックな大人の食堂となっており、友人との会食などにも使えます。ワインなどをゆっくりまったりと味わうならばソファのあるリラックスムードの3階席もあります。一人で楽しみたいのならばバールでもある1階のカウンター席を使用することもでき、誰とどう過ごしても楽しめるお店なのです。さらにすばらしいのが、深夜になっても営業している点です。ディナーは18時から明け方4時までノンストップで、テイクアウトはもちろん、近隣ならばデリバリーも受けている、さらには前日までにディナーを予約すれば渋谷までの送迎サービスまであるという普通では考えられないようなサービスを展開しています。メニューのラインナップも迷うほど豊富で、前菜は冷たいものと温かいものが合わせて30種類近くもあります。ピッツァは当然「真のナポリピッツァ教会」のお墨付きなので本場のナポリピッツァを味わうことができます。ピッツァのほうもオリジナルメニューを多数揃えており、レギュラーメニューだけでも30種類以上もあります。さらに日替わりのメニューや月替わりのメニューまであるので、何度訪れても飽きることはありません。初夏の新作は、素焼きした生地の上に、フルーツトマトや一口サイズのモッツァレラなどを盛り込んだ「フォカッチャ・アッラ・コンタディーナ」というさっぱりとした爽やかな料理です。

2008年6月6日金曜日

Napori_Pizza

1950年頃にはピッツェリアは、ナポリに30店舗ほど、海外には10店舗ほどしかなかったそうです。しかし、30年もたたないうちに世界中に広がりました。しかし中にはこれが「ピッツァ」と呼べるのかといった代物を出すお店もあったようで、「真のナポリピッツァ」を守るために、84年に「真のナポリピッツァ教会」が発足しました。協会の目的は、真のナポリピッツァを作る職人の伝統技術を評価し、後世に伝えることです。そのための職人の育成、真のナポリピッツァを提供する店の認定、認定店がレベルを保っているかのチェックなどが、現在の主な活動です。また、年に1度、9月に「ピッツァ・フェスト」を開催しています。これは、本物のナポリピッツァを広めるためのイベントで、今年は9月11日~21日に開催予定で、簡易の窯を30~40基ほど設置して10万枚のピッツァを焼きます。協会が提唱する「真のナポリピッツァ」の条件とは何か、といいますと、生地の材料は、使うのは小麦粉、酵母、塩、水のみで、オリーブオイルは焼く前に上からふりかけるのみで、決して生地に混ぜ込んではいけないというルールがあります。材料の配合や製法はもちろん、生地を練るミキサーの機種にも規定があり、手で練ったように仕上がるマシンを使うことが望ましいそうで、生地は必ず手で伸ばします。焼く時は、薪釜の床面にじかにピッツァを置くこと、そして薪にはブナや樫を使いますが、微妙な温度調節は木くずを加えて行います。仕上がりはナポリピッツァの代名詞でもあるコルニチョーネが自然に膨らみ、よい焼き色がついているのが理想で、使う具材に関しては、トマト、モッツァレラはもちろん、その他のチーズやオリーブオイルなどにも産地や種類選びのガイドラインも設けています。日本にも協会の認定店が28軒あります。日本の認定店は協会の規約をきっちり守っているお店が多いようで、当然美味しいナポリピッツァができあがるわけです。日本料理とピッツァは似ているところもあると言われ、それは素材の味を活かして料理をするという点です。ナポリピッツァも同様に美味しい食材を生地に乗せて焼き上げる調理法で、それが日本でも人気がある秘密なのかもしれません。

2008年6月5日木曜日

Reikasai

世界中からの来訪者を虜にしてきた北京の由緒ある名店、「厲家菜」(レイカサイ)が六本木に進出し、好評を得ています。エントランスに入ると、大胆な花のしつらいとあでやかな衣装が飾られています。高い天井で清潔感が溢れるシンプルデザインの個室はくつろげる広さです。清王朝時代から伝わるレシピは、美食家であった女帝、西大后が普段食していた料理を再現したもので、「厲家菜」にのみ伝えられていたため日本ではここでしか味わえません。場所は港区六本木にある六本木ヒルズのけやき坂通りで、地下鉄六本木駅から徒歩5分くらいの所です。営業時間はランチが11:30から13:30で、ディナーが18:00から20:30で、混雑するのはランチの時間帯です。料理はコースのみで、まず前菜が出され、その後に一皿ずつ料理が運ばれてきます。そして最後にはデザートですが、料理には化学調味料を一切使わず、季節感を重視し、栄養バランスを考えて、一品一品が丁寧に作りだされたものばかりです。高級食材もふんだんに使用していますが、真の素材のよさや持ち味を十分に生かすことに重きを置いており、その味は非常に上品な味わいです。ランチの時間帯のコースには、前菜10品、主菜3品、スープ、デザートの「10500円のコース」と、前菜12品、主菜3品、スープ、デザートの「15750円のコース」があり、これは一人分の値段です。ディナーの時間帯には、前菜15品、主菜3品、スープ、デザートの「21000円のコース」、前菜15品、主菜4品、スープ、デザート2品の「26250円のコース」、前菜10品、主菜、4品、スープ、デザート2品の「31500円のコース」、前菜15品、主菜5品、スープ、デザート2品の「36750円のコース」、前菜15品、主菜6品、スープ、デザート2品の「47250円のコース」があります。コースの内容は、牛フィレ肉の揚げ物や、乾し鮑など、ボリュームのある料理もあるのでかならず満足するでしょう。店内に一歩入れば日常と切り離された清王朝時代の世界、舌が喜び、会話も弾む絶品料理、ここぞというときには是非利用したい場所です。

2008年6月4日水曜日

Gyu-Gyu

港区、西新橋の「炭火焼肉Gyu-Gyu」。焼肉が好きな方ならその名前は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。この「Gyu-Gyu」は、牛肉を専門に扱って80年の卸会社が直営するお店で、全国のブランド牛より、季節や牛のコンディションも加味した選りすぐりの肉がそろいます。よく言われる「1頭買い」もここでは当たり前のことで市場内に大型の貯蔵庫を持ち、牛1頭1頭の個性に合わせて熟成を施していきます。それによって最高品質の肉が完璧な食べごろでお店へと運ばれてくるのです。見事なサシが美しくはいった肉はまさに芸術品で、テーブルにつけダレは置いてなく、うっすらと下味のついた肉を七輪で軽く焼いて、そのまま口に運びます。最高級の肉に無駄な調味料は要らないというこだわりの結果で、角のとれたまろやかな味わいで、脂がほんのり優しく絡んできます。見事な霜降りでありながら脂のしつこさがほとんどないというのも特徴のひとつです。人気のメニューは、「これ以上のカルビはない」とまで店長さんが自身を持っているという「特選カルビ」が1人前2480円。そしてこれほどサシのはいったロースは貴重で、独特な甘みが楽しめる「特選ロース」が2480円。料金はそれなりですが、その分味も最高級のお肉です。ランチの営業では「プルコギ定食」(850円)や「石焼ビビンバ」(850円)。他に、限定でA5ランクの和牛を使用した「カルビキムチセット定食」(900円)や「和牛極上焼肉セット」(1600円)などもあります。お店は新橋駅をでてから外堀通りを少し歩き、細い路地を入ったところのビルの地下にあります。店内ではR&BやHIPHOPも流れ、内装も明るく、軽やかな活気に満ちています。焼肉は七輪で食べますが、強力な排気ダクトがあるので煙や臭いの心配は無用です。座席数は32席と多くはないので予約が必要です。鮮度を大切にする焼肉屋さんではよく見かける黒板はこのお店にもあり、レジ横に置いてある黒板には、メニューだけではなくその日に使用する肉が明示されます。牛肉に精通した店長はほぼ毎日市場へ出向き、納得の行く和牛のみをセリ落とすそうです。

2008年6月3日火曜日

Japanese_amberjack

ブリという魚はスズキ目アジ科ブリ属の魚で、成長するにしたがって呼び名が変わる「出世魚」の一つです。関東では、「ワカシ~イナダ~ワラサ~ブリ」、関西では「ツバス~ハマチ~メジロ~ブリ」と呼び名が変わります。この呼び名は大きさ(重さ)で変わり、ブリと呼べるのは7~8kg以上のものとされます。出世するというので、正月の食材としても縁起がいいとされています。ブリの幼魚は春から夏に北上し、成長して冬から春にかけて南下して戻ってきます。北海道から日本海は下ってきた天然ブリは「寒ブリ」と呼ばれ、高値で取引されます。この「寒ブリ」の中でも、日本一おいしいと言われるのが富山・氷見産のブリです。富山湾では11月の終わり頃になると、猛烈な風と激しい雷が起こり海が荒れる日があるのですが、この荒天を「ぶり起し」と呼んでいます。これが冬のブリ漁が始まる合図で、12月から3月まで、脂ののった最高のブリが捕れるのです。つまり、今の梅雨の時期は天然ものはいないということなんですね。ブリを美味しく味わうなら、刺身、にぎり、照り焼き、大根と生姜と一緒に甘く煮付けた「ブリ大根」など。ブリのアラからダシも出るので汁ものに使えば、一尾まるごと無駄なく食べつくせてしまいます。他のおすすめの食べ方は、薄切りにして、沸かせたダシにさっとくぐらせるブリしゃぶです。つけダレには醤油よりもポン酢が良く合います。今の時期は養殖したブリがメインとなりますが、現在は養殖されたブリのことをハマチと呼ぶことがあります。ただ、熱を加えると生臭みが出ることがあるので、ブリ大根にはブリを使ったほうがいいです。しかし、養殖さればブリまたはハマチも脂がのっていて美味しいものです。ブリと違って身が柔らかめですが脂とあいまってトロリとした食感がありあす。養殖魚でも臭みはあまりなく、かえってブリよりも味が濃厚だからハマチのほうが好きという人もいるほどです。ブリに含まれる成分には体力維持などに効果があるようです。多く含まれているタウリンには、疲労回復の効果があり、ビタミンDが豊富なので、骨格を形成するさいにも重要な役割を果たします。季節の食材というものは反対の季節になるほど恋しくなってしまいますね。

2008年6月2日月曜日

CHICAGO

都営三田線の板橋本町駅から徒歩3分くらいのところに「AMERICAN_STYLE_STEAK_HOUSE CHICAHO」というステーキハウスがあります。ここのレストランのオーナーは元お肉屋さんのようで、そのオーナーが「美味しいお肉を、安く、お腹いっぱい沢山の人に食べてもらいたい」という思いから始めたお店だそうです。店内はログハウスをイメージしており昔のアメリカを意識しているようです。都内にしてはアットホームな感じで、従業員の方もとてもフレンドリーです。とりあえず始めてということもあり、注文したのは定番風のシカゴステーキ(200グラムで1700円)です。ライスは大盛りサービスだったのですが、ここは遠慮して普通盛りにしました。ちなみに大盛りを注文した人のライスは山盛りできていました。しばらくするとシカゴステーキが登場です。鉄板の上でジュージューと激しく肉汁を飛び散らせながら出てくるあたりがとてもワイルドで、まさにアメリカンです。基本的にはここのステーキには下味しかついておらずバターが乗っているのみです。それにお好みで醤油やニンニクを使用して味をつけて食べるのですが、赤身のお肉なのでボリュームの割りには全然くどくなく、お腹一杯になっていてもまだまだ食べることができそうな感じです。高級な焼肉屋さんで食べる焼肉もおいしいのですが、同じ肉を焼く料理なのに全く別のおいしさです。例えるならバーベキューで自分好みのサイズのお肉の塊を焼いて自分好みの味付けでほおばっているような感じでしょうか。そして食後にコーヒーを出していただきましたが、このアメリカン・コーヒーが一風変わった器に入って出てきます。使い古されたアルミの塗装がはげかかったカップなのですが、それがまたこのお店にマッチしておりいい味をだしてくれます。他のメニューは、「カウボーイステーキ」(400g)や「ロッキーハンバーグ」(500g)など食べ応えのありそうなものばかりです。サイドメニューとしても、「タコス」や「チョリソー」などがあり、軽くお酒を飲む目的で、バーとしても使えるお店です。しかし、この「CHICAGO」はやはりがっつりと食べれるような体調のときにがっつりと食べたいお店です。

2008年6月1日日曜日

ANAGO

煮たり締めたりといった江戸前ずしを特徴づけている仕事の数々は、もともとは保存性を高めるために生まれたと言われています。流通も未発達で、冷蔵庫もなかった時代の知恵なのと同時に、そのままでは寿司にできない魚介を、握っておいしい素材へと生まれ変わらせるのもまた仕事の重要な役割です。その最たるものがあの、アナゴなのです。口に入れればやわらかく、とろけるような舌ざわり、味わいは甘さも辛さも突出せずに、ただうまいものだけを感じさせてアナゴ独特の香りが鼻の奥へとぬけていく、そんなアナゴに煮上げるために、一流のすし屋さんなら素材選びにも煮仕事にも手を抜かず、そのお店なりの特色をだすように精進します。「アナゴを食べればそのお店のレベルが分かる」とか「すし屋が100あれば、アナゴの煮方は100通りある」と言われるようにまさに千差万別の食材なのです。アナゴは仙台湾や瀬戸内海、三河湾などでもとれますが、東京のすし屋さんは東京湾で取れたアナゴにこだわります。それは単に江戸前のこだわりではなく、質がいいからなのです。羽田沖のものが最高とされていますが、小柴や子安産も名が通っています。旬は6月から7月で、背開きにして骨をのぞき、ほどよく調味した煮汁で煮ます。仕事の内容はただそれだけなのですが、シンプルだからこそ奥が深いのです。煮汁は水に酒にしょうゆ、みりんが基本的なもので、なかには注ぎ足し注ぎ足し、アナゴの脂やゼラチン質を含んだ煮汁をずっと使い続けているお店もあります。落し蓋をするもしないもそれぞれならば、煮る時間もさまざまです。脂が乗っていればやわらかくなるのも早いので、煮る時間は魚によって変えるのです。煮たアナゴを握る前に軽く火であぶるというお店も多く、アナゴの握りは従来、このあぶったタイプと、やわらかく煮上げてそのまま握るタイプの2タイプに大別されていましたが、最近ではあぶるお店が多いです。アナゴは煮上がりがいちばんやわらかくて美味しいとされており、あぶって熱を加えることで、美味しさを呼び戻すという手法です。なかには作りおきはせずに煮上がったばかりのアナゴを握っているという、手間を惜しまないお店もあるようです。